知っておきたい介護の基礎知識:離れて住む親にできること

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こんにちはののみです。

私の義両親は車で1時間半ほどの田舎暮らしをしています。義両親の家は先祖から受け継がれた家に嫁が入り、何世代も同居するスタイルで上の世代の介護を助け合ってきたようです。
現在義両親は60代。上の世代がいなくなり、今は2人で暮らしていますがいつ介護が必要になるかわかりません。

義両親の今までのスタイルを考えると同居が望ましいのでは?と思うのですが、私自身としては様々な理由から同居して介護をするのは現実的ではないと考えています。核家族化が進み共働き世帯が当たり前の現代では、仕事が辞められなかったり、子育て負担が大きいなどの背景から別居介護を選択する人も増えているようです。

そこで今回は、遠距離でどんなサポートができるのか、介護が必要になる前にどんな準備が必要になるのか、また介護者として知っておいたほうが良いことなどをまとめてみました。

それでは一緒に勉強していきましょう。

この記事を書いた人

ののみ
  1. 30代3児のお母さん
  2. 社会に出るとポンコツな専業主婦
  3. 旦那さんが大好きすぎる妻
  4. 家事全般や裁縫は割と好き
  5. 保有資格:社会福祉士、介護初任者研修、運転免許
  6. 育児・ママ友・夫婦関係・義実家付き合いなどを投稿
  7. 主婦の気ままな雑記ブログ

本記事の内容

目次

離れて住む親のためにできる介護サポート

親が住む地域包括支援センターへ相談

地域包括支援センターは介護が必要になった方は必ず知っておきたい地域の相談窓口です。

日常のちょっとした困りごとから、金銭的な問題や病気などで突然介護が必要になった際に、要介護認定の受け方や介護保険申請の手続き、介護予防サービスなど高齢者の方が安心して暮らしていけるよう、情報提供をしてくれます。65歳以上のすべての方が利用することができるので、日常生活で困ったことや介護保険に関する相談などはまずこちらに行ってみましょう。

離れて暮らす場合は、必ず支援を受けたい本人が住む場所の地域包括支援センターを利用します。地域の日常生活圏ごとに設置されているので、場所がわからない方は市町村の介護保険担当窓口に問い合わせてみましょう。

地域の情報収集

介護が必要になった時に、親が受けられる介護のサービスを知っておきましょう。

  1. 介護保険サービス
  2. 地域や自治体の見守りサービス
  3. 企業が行う見守りサービス

❶介護保険サービス

介護保険とは、高齢者や障害を持つ方が必要な介護サービスを受けられるようにするための社会保険制度です。日本では2000年に導入され、大きく分けて2つのサービスを受けることができます。

  1. 居宅サービス
  2. 施設サービス
居宅サービス

居宅介護サービスは、高齢者や障害者が住み慣れた自宅で介護を受けながら生活を続けられるように支援するサービスです。具体的には、訪問介護や看護、リハビリ、デイサービス、ショートステイ、福祉用具貸与、住宅改修支援などのサービスが提供されます。

施設サービス

日本の介護保険制度における施設サービスは、

  1. 常時介護が必要な高齢者が入所して生活全般の介護を受ける特別養護老人ホーム
  2. リハビリテーションを中心に在宅復帰を目指す介護老人保健施設
  3. 医療ケアと介護を一体的に提供するナーシングホーム

などの施設で、日常生活の支援や医療的ケア、リハビリテーションを提供するサービスです。

❷地域や自治体の見守りサービス

1人暮らしの高齢者などのために自治体も独自のサービスに取り組んでいます。サービスを利用できる時間の制限や利用者負担が数百円かかることもありますが、頻繁に親の様子を見に行けない時に地域の自治体やボランティアが行う見守りサービスを活用できると安心です。

受けられるサービスは自治体によって異なりますが、令和5年7月14日に総務省が出した【一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査】資料によると実際にこんな見守りサービスが実施されています↓

  • 民生委員や地域住民などが行う訪問による見守り活動(福岡県福智市)
  • 高齢者が電話で健康状態を発信、協力者が安否確認を行う見守り活動(岩手県)
  • サロンを通じた見守り活動(北海道厚沢部町)
  • 配食に併せて高齢者の安否確認等を行う見守り活動 (福島県いわき市)
  • 訪問による見守りや食事会の代替措置として配食サービスを開始(福島県磐梯町)
民生委員や地域住民などが行う訪問による見守り活動(福岡県福智市)

地域の民間事業所(郵便局・ガス事業所・宅配事業所等)と協定を締結し、民間事業所が異変に気付いた時に社会福祉協議会に連絡するなどの見守り活動が行われています。

高齢者が電話で健康状態を発信、協力者が安否確認を行う見守り活動(岩手県)

県社会福祉協議会では、高齢者(おげんきさん)が1日1回健康状態を自宅の電話のダイヤルボタンで発信し、みまもりセンター(市町村社会福祉協議会等)が確認する取組を実施しています。民生委員等の見守り協力者(みまもりさん)にも発信状況をメールで知らせることができ、発信状況、内容を基に訪問が必要な場合は、見守り協力者に対して訪問を依頼する見守り活動が行われています。

サロンを通じた見守り活動(北海道厚沢部町)

赤沼町内会の「ふれあいサロンあかぬま」では、陶芸体験、パークゴルフ、そば打ち体験等の活動を実施しているほか、大学生や医療福祉専門学校の学生の参加による体力診断やレクリエーションを実施しています。各町内会のサロン活動の運営は、地域住民や社会福祉協議会のほか、地元の中学生も参加する協議体で検討しています。

配食に併せて高齢者の安否確認等を行う見守り活動 (福島県いわき市)

市の委託を受けた民間事業者の配達員がお弁当を配達すると共に高齢者の安否確認をする取組が実施されています。毎月の利用状況などを市の保健センターに報告し、その際配達中に気付いた利用者の体調変化などについても報告します。異変があった際は地区保健福祉センターやケアマネージャー、親族に直ちに連絡をする形で見守りが実施されています。

訪問による見守りや食事会の代替措置として配食サービスを開始(福島県磐梯町)

福島県磐梯町では、新型コロナの感染拡大後、これまで行ってきた訪問活動や親睦のための食事会に代わって配食サービスを取り入れました。弁当は町内の飲食店から手配し、民生委員が直接、高齢者宅に配達していることから、配達の機会を通じて安否確認や相談に対応できるようになっています。

自治体のサービスの多くは申請をしないと受けられない

自治体のサービスはその多くが受けるのに条件があり、申請をしないと受けられないサービスです。
担当ケアマネージャーや地域包括支援センターが窓口となりますので、サービスを受けたい時は問い合わせてみましょう。
遠くに住む両親の心強いサポートになってくれるので、ぜひ地域や自治体でどんなサービスがあるのかを調べておくと安心です。

❸企業が行う見守りサービス

企業が行う見守りサービスの中には自治体では行っていないサービスも多くあります。見守りサービスには介護保険が適用されないため、自己負担となりますが、離れて住む親を家族の代わりにサポートしてくれるの心強いでしょう。

企業で行う見守りサービスにはどんなサービスがあるのか調べてみました↓

  1. 自宅にカメラやセンサーを設置する見守りサービス
  2. 支援スタッフによる訪問サービス
  3. 電話での見守りサービス
  4. 緊急時に駆けつけてくれるサービス
  5. 配食サービス
自宅にカメラやセンサーを設置する見守りサービス

家族や親の様子をいつでも確認することができます。スピーカーが備えられている場合、会話をすることも可能なので健康状態を把握しやすいメリットがあります。

支援スタッフによる訪問サービス

自治体だけでなく、企業でも訪問サービスが提供されています。一人暮らしの方にとっては直接人と会話をできる機会になり、孤独感を解消できるメリットがあります。おしゃべり好きの方などは自治体の訪問サービスと合わせて利用するのも良いかもしれません。

電話での見守りサービス

担当者が高齢者宅に直接電話をかけて、生活の状況などを聞き取りしてくれます。直接会話することで生活の困りごとなどを詳細に伝えることができるので家族としても安心感が得られます。

緊急時に駆けつけてくれるサービス

体調に異変を感じた時に、ボタンを押すだけでスタッフが駆けつけてくれるサービスです。操作が簡単なので高齢者にとっては導入しやすいサービスと言えますし、慢性疾患をお持ちの高齢者などは緊急時にボタンを押すだけで助けを求められるので安心です。

緊急通報システムは市町村が提供するサービスとして0円〜1000円程度で利用できますが、利用できる対象者は自治体によって異なり、対象を「65歳以上のひとり暮らしの高齢者」に限定しているところもあります。

自治体と比べて設置費用は高くなりますが、家族と同居している高齢者で外出時の緊急事態の時に自分で助けを求められるようにしたいなどの時に利用することが考えられます。

配食サービス

訪問サービスと同様に民間企業でも配食サービスが提供されています。民間企業が行う配食サービスは自治体と比べて値段が高い傾向にありますが、自治体の配食サービスは「夕食のみ・週に3回まで」など利用できる日数や曜日が決まっていたりするので「配食制限がなく3食届けてもらえる」ことが民間企業の配食サービスを利用するメリットです。
しかし、民間が行う配食サービスは助成金が受けられない可能性もあります。企業の個人宅への配食サービスの平均額は1食650円前後であり、頻繁に利用すると高額になってしまうことから、費用を抑えたいという方は民間よりもまず地域包括支援センターに問い合わせてみることをオススメします。

介護できる頻度や分担を考えておく

別居介護とはいえ、家族による介護が一時的にでも必要になる時があります。その時のためにも、働いている場所での介護休暇や制度、申請手続きにについて把握しておくと良いでしょう。
また、家族や兄弟姉妹、配偶者との役割分担の話し合いをし、介護負担が1人に集中しないようにすることが、介護トラブルを避けるためにも大切な事前準備です。

別居介護でもケアカンファレンスへの同席がオススメ

別居していても、ケアカンファレンスに同席することで親の現状や必要なサポートを把握しやすくなります。
家族全員が情報を共有し、親のケアプランを共同で立てることができるので、遠方に住む家族がどんなサポートをしていけるかなどを話し合い、役割を分担することができます。また、本人が認定調査員に日常の困りごとを言えず、実際の認定区分より軽い認定が出てしまうのを避けるためにも、家族が代弁して伝えたりするなど現状を適切に伝えられるメリットがあります。

介護に備える事前準備(親のことを知る)

遠距離での介護は、離れていても両親が安心して暮らしていける体制を整えていくことが大切です。
そのために必要な準備についてまずは挙げていきたいと思います。

親とコミュニケーションを取れる体制を作っておく

離れて暮らす親をサポートするには、連絡を取りやすい体制を以下のように整えておくことが大切です。

  1. 親の生活パターンを知り連絡を取りやすい時間帯や家にいる時間を把握しておく
  2. 携帯電話やメールなどができるものを用意し、本人と連絡を取れるようにしておく
  3. かかりつけ医、ヘルパー、ケアマネなどの連絡先を把握しておく
  4. ご近所付き合いのある方やご友人の方など人間関係を把握しておく

本人と連絡を取れるようにしておくことで、日々の困りごとを共有したり、家族であれば話し方などから体調の変化に気づきやすくなります。また、ご近所の方の連絡先を聞いておくと、本人と連絡が取れない時にちょっと様子を見に行ってもらうなどのサポートも見込めます。何かあった時には専門機関と連絡を取り合えるよう、体制を整えてくと良いでしょう。

親に聞いておきたいこと

まだ親が元気な様子を見るとまだいいかなと思いがちですが、その日は突然にやってくるかもしれません。
可能であれば介護が必要になる前に以下のことを聞いておくと良いでしょう。

  1. 元気なうちに親の気持ちを聞いておく
  2. 持病や既往歴など介護で抱えそうな問題を知っておく
  3. 親の資産や預貯金など

元気なうちに親の気持ちを聞いておく

1人で暮らすことが難しくなった時、介護施設に入りたいのか、介護サービスを利用してできるだけ長く家にいたいのか、食事を食べられなくなったらどうするのかなど聞いておくと、介護者側も迷った時の決め手になったり、今後の介護方針を考える時間をしっかり持つことができます。
実際に親の要望を叶えるのが難しい場合もありますが、その通りにならなくても考える時間があることで納得のいく決断ができるかもしれません。

持病や既往歴など介護で抱えそうな問題を知っておく

まだまだ親が元気という方も、一度は病気や入院の経験があるかもしれません。病状が徐々に進行していく場合も多いので、持病を知ることで、どの段階でどんな介護サポートが必要になってくるのかイメージしやすくなります。

親の資産や預貯金を聞いておく

実際に介護を必要とすると、親の資産や預貯金などを介護費用に充てることが多いです。お金に関することを把握したり、代理で管理が必要になる時がくるかもしれません。離れて暮らしていて、久しぶりに会った時にいきなりそういった話をするのはなかなかハードルが高いと思います。可能であれば連絡頻度を増やすなどして話しやすい雰囲気を作っておくと良いかもしれません。

介護する際のお金に関する問題はとても重要なので、次にもう少し掘り下げて解説していきます。

介護に備える事前準備(お金)

先述しましたが、いざ介護が必要になった時、親の介護は基本的に親のお金から支出できるように、両親の資産や経済状況を把握しておきましょう。

突然の病気で意思疎通ができなくなった時など、実の子どもであってもすぐに預金を引き出すことはできません。
一時的でも家族が介護費用や生活費を立て替えなければならないケースも多く見られますので事前の対策が需要です。

お金に関しての事前準備として以下のことをしておくと良いでしょう。

  1. 親の銀行口座の暗証番号を控えておく
  2. キャッシュカード・印鑑・通帳などの場所を共有しておく
  3. 元気なうちに委任状を作成しておく

認知症になった高齢者の口座は凍結される

認知症になった高齢者の口座は凍結されてしまい「定期預金の解約」「預貯金の引き出し」ができなくなります。

この場合、委任状があったとしても、本人以外の親族が引き出すことができなくなり、介護費用や生活費を親のお金から支払うことができないなどの問題が起こります。こういった事態になった時にどう対処すれば良いのかを解説していきます。

  1. 成年後見制度を利用する
  2. 銀行に個別に相談する

❶成年後見制度を利用する

成年後見制度とは、判断能力が低下した本人の代わりに財産の管理や適切なサービスを選択し本人の生活を守る制度のことです。

親が認知症になった場合、成年後見制度を活用すれば本人の代わりに財産管理を行うことができます。
成年後見人を決めるのは家庭裁判所です。家庭裁判所に成年後見制度の申し立てを行い、問題がなければ家族や親族を成年後見人として認めるケースもあります。

しかし、2022年における親族が成年後見人に選任された割合は全体における19%であり、残りの80%以上は専門家に選任されています。また成年後見人制度の利用は、本人の預貯金を引き出すことができるようになるまで3、4ヶ月かかるためその間は家族が立て替えをするケースも多く見られることから、やはり事前対策が重要視されています。

❷銀行に個別に相談する

全国銀行協会が2021年2月18日に「高齢者や親族による金融取引の考え方」を発表し、認知症になった方の家族が、本人の預貯金の引き出しなどがしやすくなりました。

ただし家族が自由に引き出しができるわけではないので注意が必要です。

認知症の診断書や、介護や医療費の領収書などを提出し、本人とって明らかに必要な出費であることが認められれば引き出すことができますので、引き出したい口座の金融機関に一度問い合わせてみると良いでしょう。

まとめ

最後に、親の介護を遠くからサポートするためには、親の住む地域包括支援センターへの相談や地域のサポートサービスなどを情報収集すること、また企業が提供する見守りサービスも活用するなど、さまざまな方法があります。

いざ介護が必要になった時のために、誰がどのくらい行くのか、その頻度や家族間での分担を考えておきましょう。
その時のために、可能な方は親とコミュニケーションをとり、必要な情報を聞き出しておくことで円滑にサポートをすることができます。

親の希望や健康状態、貯蓄を引き出すために必要な情報を把握するなどの準備をしておくことで、介護が必要になった時に慌てずに対応できるようになります。家族全員が安心して過ごせるよう、計画的に準備を進めていきましょう。